フローリングの防音性能について
◆騒音の基準は?
環境音には、環境省によって基準が設けられています。二車線の道路に面している地域、幹線道路に近接している地域など、細かい分類はありますが、騒音とならない基準値として、
昼間は50~60デシベル以下
夜間は40~50デシベル以下
と定められています。
一般的な住宅の場合は、中間値である55db(昼間)と45db(夜間)を基準と考えればいいでしょう。
では、足音がどれくらいの音の大きさになるかと言うと、子どもが走ったり飛び跳ねたりすることで階下に響く音は、フローリングの防音性能が低い場合で最大65dbにもなります。
防音対策をしっかりと行うことで50dbほどに抑えることができるので、やはり防音対策をしっかり行うことが大切と言えます。
フローリングの防音性能
床に衝撃が加わって発生する音を「床衝撃音」といいます。
床衝撃音には、「軽量衝撃音」と「重量衝撃音」の2種類があります。
フローリングの防音性を高めるには、上記の2種類の床衝撃音を和らげるための対策が必要になります。
【軽量衝撃音】
スプーンなどの軽いモノを落とした音やスリッパで歩く音、引き戸を引いた時の音などが階下に伝わるときの軽い音です。
LL(レベルライト)と表記されます。
【重量衝撃音】
子どもが高いところから飛び降りたときのドスンという音、走り回る音などが階下に伝わるときの音で、重くて鈍い音です。
LH(レベルヘビー)と表記されます。
防音フローリングには、「LL-50」「LH-50」などと表記されています。
LLは軽量衝撃音のレベルライトのことで、LHが重量衝撃音のレベルヘビーにあたります。
数字は「L値」と呼ばれ、実際に人間の耳に聞こえる音のレベルを示しており、数値が小さいほど防音性能が良いということになります。
【表】評価尺度と住宅における生活実感との対応の例を簡略化
遮音等級 | L-30 | L-35 | L-40 | L-45 | L-50 | L-55 | L-60 | L-65 | L-70 | L-75 | L-80 | 備考 | |
衝撃衝音 | 人の走り回り、飛び跳ねなど | 通常ではまず聞こえない | ほとんど聞こえない | かすかに聞こえるが、遠くから聞こえる感じ | 聞こえるが、意識することはあまりない | 小さく聞こえる | 聞こえる | よく聞こえる | 発生音がかなり気になる | うるさい | かなりうるさい | うるさくて我慢できない | 低音域の音、重量・柔衝撃源 |
椅子の移動音、物の落下音など | 聞こえない | 通常ではまず聞こえない | ほとんど聞こえない | 小さく聞こえる | 聞こえる | 発生音が気になる | 発生音がかなり気になる | うるさい | かなりうるさい | 大変うるさい | うるさくて我慢できない | 高音域の音、軽量・硬衝撃源 | |
生活実態、プライバシーの確保 | 上階の気配をまったく感じない | 上階の気配を感じることがある | 上階で物音がかすかにする程度・気配は感じるが気にはならない | 上階の生活が多少意識される状態・スプーンを落とすと音がかすかに聞こえる大きな動きは分かる | 上階の生活の状況が意識される・椅子を引きずる音は聞こえる・歩行などが分かる | 上階の生活状況が意識される・椅子を引きずる音はうるさく感じる・スリッパ歩行音が聞こえる | 上階住戸の生活行為がよく分かる・スリッパ歩行音がよく聞こえる | 上階住戸の生活行為がよく分かる | たいていは落下音がはっきり聞こえる・素足でも聞こえる | 生活行為が大変よくわかる人の位置が分かる・全ての落下音が気になる・大変うるさい | 同左 | 生活行為、気配での例 |
日本建築学会による指針では、「LL-45」「LH-50」を好ましい性能水準として推奨しています。45は、人の足音が聞こえるが気にならない程度、50は小さく聞こえる程度とされています。
以下は、フローリングの防音性能の目安です。
軽量床衝撃音
床の仕上げ材の種類によって音の吸収が変わります。
L-60以上・・・合板フローリング、クッションフロアー
LL-50~LL-45・・・遮音フローリング
LL-45~LL-40・・・カーペット仕上げ
重量衝撃音
コンクリートスラブの厚みによって伝わる音の大きさが変わります。
目安としては200mm以上。フローリングだけでなく、スラブ厚の厚い物件を選ぶことも大切です。
床下地の仕上げ方法
フローリングを張り替える際は、下地の仕上げ方法によっても遮音性能に違いが生まれます。仕上げ方法には、主に2つの工法があります。
・直貼り工法・・・コンクリート床スラブの上に直接フローリングを張る工法です。足音などが直接階下に響いてしまいます。
・置床(二重床)工法・・・床スラブの上に遮音置き床を敷き、その上に合板を敷いてフローリングを張る工法です。コンクリートスラブとフローリング材の間にできた空間に遮音シートなどを挟むことができ、より遮音性を高めることができます。
マンションではほとんどが置床(二重床)工法で施工されています。
遮音下地材の種類
無垢フローリングには、さまざまな遮音下地材があります。
よく使われるのは、ケナフでできたフェルトとアスファルトを合わせた「ユニフェルトケナフ」をコンパネと組み合わせる方法です。遮音性の高いフェルトを用いることで、LL-45の基準を満たすことができます。ケナフは紙の原料である自然素材なので、無垢フローリングの良さを損ないません。
また、「木の香 防音マット」という下地材はLL-40の厳しい基準をも満たす優れた下地材です。遮音制振マットと耐水パーティクルボード、エアクッションでできています。
コンクリートスラブ厚や周囲の環境によってもどの程度の防音が必要になるかは違ってきます。また、マンション等では使用する床材が決められていることもあるので、規定を確認することも大切です。
フローリングの張り替えには、物件や環境を調査した上で、フローリング材自体の防音性能はもちろん、下地材や仕上げ方法にも気をつけて防音性能の高いフローリングにしましょう。