2016年8月2日

車いすに適した床材とは

車いすに適した床材とは

家の中で車いすを使う方にとって、廊下の幅や段差の有無、ドアの開け方など、スムーズに操作できる環境づくりは欠かせません。中でも、車いすの操作のしやすさは床材に何を選ぶかで大きく変わってきます。車いすでもストレスなく生活できる、バリアフリーの床材について考えてみましょう。

◆ 車いすにNGな床材

滑りやすい床材
滑りのいい床材のほうが車いすの車輪がスムーズに動きそうですが、スピードの調整や方向転換がしにくく、走行が安定しません。また、トイレや浴室などで乗り降りする際にも足もとが滑りやすく、転倒のおそれがあり危険です。
非常に柔らかい素材なので、車いすの車輪で畳がこすれて傷んでしまいます。畳の目があるので、方向転換もしにくいです。
カーペット
毛足の長いカーペットは車輪に絡まって動きにくいので適しません。毛足の短いタイプでも車輪への抵抗が大きく、病院や介護施設用に開発されたものでないかぎり、フローリングと比較すると走行に3〜4倍程度の力が必要となってしまいます。

◆ 車いすに適した床材

操作性を考えると、滑りにくく凹凸のない床材が適しています。表面に耐摩耗性に優れた塗装を行うことで強度を高めることができ、車いすでの方向転換や走行による傷を抑えてくれるため、お手入れもラクになります。具体的に、どんな床材がどのような点で適しているのか見てみましょう。

複合(合板)フローリング

複合(合板)フローリング

床面が硬いので、車輪での走行がスムーズです。特に、車いす対応の複合フローリングが適しています。表面の強度を高めているため傷や凹みが付きにくく、水や汚れにも強い素材になっています。無垢フローリングは高くて予算を超えてしまう、それでも無垢の風合いを楽しみたいという場合は、表面に銘木を貼った車いす仕様の複合フローリングもおすすめです。


コルクタイル

コルクタイル

クッション性に優れ、万が一の転倒の際にも衝撃を抑えてくれます。耐摩耗性が高いので車いすの使用にも耐え、滑りにくく適度な柔らかさがあるため、介護施設などでもよく使用されています。遮音性にも優れており、階下への音の響きが気になる場合にも効果的です。


無垢フローリング

無垢フローリング

やわらかい杉やヒノキなどは傷がつきやすいため、硬めの樹種がおすすめです。ナラ、サクラ、カエデなどは硬く、傷もつきにくいでしょう。キャスターや車輪への耐久性を高めた車いす対応の無垢フローリングや、滑りを防ぐコーティングもあります。
複合フローリングやコルクタイルと比較するとコストは高くなりますが、木のあたたかさや吸湿機能など、自然素材ならではのメリットも大きいでしょう。


◆ 床材を傷つけないために

室内用と屋外用で同じ車いすを使用している場合は、車輪やキャスターに砂利がはさまっていることがあります。硬いフローリングでも傷ついてしまうので、玄関などの出入り口にマットを敷いて、砂が落ちるようにしておきましょう。

バリアフリーリフォームには、介護保険や自治体からの助成金を利用できるほか、確定申告による減税措置を受けることもできます。こうした制度を活用すれば、費用がかさむ床材でも安く施工することができます。希望に合った床材を選び、長い間、ストレスなく快適に暮らせることが車いすを利用する人にとって最も大切なことではないでしょうか。